喘息の話題二つ

今日の日曜日は、福井大学医学部で「第57回呼吸器合同北陸地方会」が開催され、評議員をしているため評議員会もあり、出席をしてきました。
「体外式i陰圧呼吸器」使用例の報告が2題発表されていました。マイクが少々邪魔になっておりますが、デジカメで取った写真を紹介しておきます。このホームページを勉強しておられる方々は、この装置のお世話になることはないでありましょうけれども、重症例には今後広く使用されて行く可能性があります。

「喘息をよくし、治す」(合同出版)の145ページで紹介している「胸部圧迫式換気補助の方法」を機械がやってくれるというものです。理学療法士(PT)の人が強い喘息発作や肺気腫の人の呼吸困難の時に、両手で呼吸補助をしてくれますけれども、ひと晩じゅう人がやるというのは大変ですから、機械にやってもらえば便利ということです。しかしあまり気持ちの良いものではないらしく、苦しさが取れればやりたいという人は居なくなるとのことです。いくら新型の人工呼吸器が出て来たとしても、お世話にならないようにすることが大切ですね。
もうひとつの話題は、先日開催された「成人喘息レベルアップ講習会」の時のことです。午前中は喘息の方々を外来診療の中でレベルアップしようと「特別予約外来」に設定しました。その時に受診された人がいました。その人は城北診療所は遠いので、自分の近くに専門の先生に「紹介状を書いてほしい」と言われたので、紹介状を書き転医されたばかりの人でした。「転医したばかりじゃない? どうしましたか」と聞きました。
その病院の先生に色々と話をしたのだけれども、ちっともわかってくれなかった、私は先生の「ぜんそく」という本を早速取り寄せて読んだら、ここに書いてあるブロンコレアと全くいっしょだ、その本を私に見せながら私はブロンコレアだと言うのです。1日100ccぐらいの痰が出るようになったと言うのです。「ええっ?!」と私の方が驚きました。早速こんな形で、新しい本が役だったのかと驚いたのです。しかし、これまではとてもそんな人のようには見えませんでした。
見えないように囲った蓄痰ビンを持っていただき、成人喘息レベルアップ講習会が終わるまで貯めて頂くことにしました。その人は初めて参加したレベルアップ講習会に夢中になり、興奮したり感激しているうちに、痰を出すことを忘れてしまったのです。痰がひとつも出なかったかったのです。終わった時に見せてもらったら、ブロンコレアではないことが証明されておりました。この人はきわめて初期に、私共と出会ったために、ブロンコレアにならずにすんだかもしれないのです。ここに早期に来ずに毎日100cc以上の痰を出しながら、1年後か2年後に戻ってきたら、なかなか治しようのないほどのブロンコレアとして完成されていたのかもしれません。
そして昨日の土曜日の外来にこられたときには、やせこけた顔がふっくらとしてきており、「ブロンコレア?が治りました。そのなりかけだっただけで、成人喘息レベルアップ講習会の後は、レベルアップされてとても調子がいいです」とうれしそうに話しておられました。私はこれは2度目のびっくりでした。
ぜんそくという本が役だったということ、成人喘息レベルアップ講習会が役だったということ、二つがこの人の運命を変えたのです。
ぜんそくという本は、このホームページからすぐ注文出来ます。アマゾンショップでもしだいに上の方に上がって来たようです。
http://www.amazon.co.jp/s/ref=nb_ss_b/503-6692388-1498362?__mk_ja_JP=%83J%83%5E%83J%83i&url=search-alias%3Dstripbooks&field-keywords=%9Ab%91%A7&Go.x=13&Go.y=5
残っている実際の講演と交流会は、「12月3日に大阪で開催される関西喘息患者交流会」だけとなりました。これが今年最後です。関西地方の方々、ぜひともご出席下さい。
http://www.zensoku.in/cgi-bin/topics/topics.cgi