喘息をよくし治すために(2012)

239. 龍に託す今年の願い

喘息をよくし治すために(239)
喘息大学学長 清水 巍

 あけましておめでとうございます。毎年の恒例ですが、野口正路さんの「新年に贈る言葉」(土曜美術出版販売)から詩を引用し、冒頭を飾ります。

角と鱗と髯と
五本の足指をもつ
龍のいる世界は
想像のひろがる世界だ

その変幻出没する視野は
未知と可能性と
変化の視野だ

雲と霧の奥へ通ずる
龍門をくぐる
かなたから美しい
香りがただよってくる

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 干支(えと)の十二支ほど中国や日本で、新年に語られる動物はないでありましょう。それだけ深い歴史を刻んで来たのです。新年にあたり、その動物に色々な意味や願いを込めて、人は新年を考えてきました。他はすべて現実に存在する動物なのに、『龍、辰』だけは想像上の生き物であります。想像上の願いを託すにふさわしい活躍を、人は龍に願ったのではないでしょうか。
 龍に託す今年の願いは幾つもあります。

① 東日本大震災からの復興と原発被害の根絶が第一です。安全ではなく、とても危険なことが明らかになりました。全廃への道を日本は率先して進むべきです。クリーンエネルギー開発先進の国に変化するように龍に、活躍をお願いしたいものです。

② 「税と社会保障の一体改革?」という議論がTPP参加問題を含めて、やかましくなってきました。「100年安心」と言って年金制度を給付減、負担増にしたばかりです。もう破綻寸前だからと「消費税増税」が叫ばれております。そういう政治・経済を正すのも龍にお願いしないと、阻止できそうにありません。
しかし、これは日本の庶民、国民が一致団結して龍に変身すれば可能となるのです。自分達全体にお願いして、龍が火を吹くように怒って、①②を実現しましょう。

③ 喘息改善、合併症克服、加齢はあっても健康回復、元気で長生き実現も龍に託しましょう。
この龍は自分の中にいるのです。その龍を以下で引き出せば実現します。

 わかば会員1000名達成、身障者団体として認められ郵送料軽減。ホームページ改善。第11回成人喘息ゼミを5月に開催し、「石川民医連の日野原先生=莇(あざみ)昭三先生の招待講演-夫婦・仲間と共に元気で」、大川先生のバージョンアップした「若々しく生きる」特別講演、「喘息、合併症克服の確かな道-生還の報告と教訓を含めて」という私の教育講演、研修医・笠松優子先生による基礎講演「喘息を知る-初めての参加者や4年制の喘大卒業生でない人にとっては、貴重な勉強の機会」、その他講演、山崎雅美先生の「ピラティス早朝実習」、「貴重な体験の持ち主の方々による実体験の発表」、「体験交流会や夕食交流会」は龍宮城のような場となることでしょう。玉手箱はあげませんのでご安心下さい。

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1)医学の進歩を取り入れ、健康な龍に変身する
 喘息有病率は9.2%、医師により喘息と診断された者の率は最近の日本では、5.2%とされています。しかし、その60%は軽症で病院には来なくてすんでいるそうです。年々、発作受診は減少し受療率は低下しています。そういうことが可能な医学的進歩がありますので、この「わかば」で学会(ex.上)
の新知見を学んで頂き、その軽症の人たちよりも大いに安定し、改善する道を歩んでまいりましょう。
 喘息だけでなく鼻の管理、匂いの改善、好酸球性中耳炎の改善、チャーグ・ストラウス症候群の改善も必要です。エネマシリンジと食塩+重曹の鼻洗浄で、匂いが改善し鼻が快適になった人が出現しています。
 糖尿病、癌の検査・治療も日進月歩です。健康な龍に変身することが可能な時代に私たちは生きています。そうなるための情報を得て可能性を実現しましょう。

2) 各地方での交流会を盛大に
 新しい人が参加してくるということが、活力を生み出します。今年の10月後半には長崎で民医連の呼吸器疾患研究会があります。長崎くんち、龍踊(じゃおどり)のある所でもあり、九州地方の喘大卒業生やわ
かば会員と交流ができれば嬉しいです。関東、関西は勿論ですが、福島を励ます集いも盛大にできたらいいなと願っています。
 孫も小学校に上がり、成長し始めました。みんなが幸せな年となるよう、龍に願いを託し、実現しましょう。

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240. 貴重な1年々々、1日々々

喘息をよくし治すために(240)
喘息大学学長 清水 巍

 正月が過ぎ、皆様いかがお過ごしでしょうか。年賀状のやりとりは、いかがだったでありましょう。
 私は733通を1月1日に着くように出しました。会員の皆様や喘大卒業生からも沢山の賀状を頂きました。有難うございました。一言書いてある近況報告を見ると、100%の人が以前より安定している、よくなった、忘れるぐらいだと書いておられました。よくなっていない人は、恒例の挨拶しか書いてないのか、そもそも年賀状を下さらないのかもしれません。そこで私は考えました。なぜ、そんなによくなったのだろうかと。年賀状にかかわらず、よくなった人は共通するでしょう。

①喘息大学に入ったり、わかば会員を継続して下さる方は、よいものを求める努力を昔も今もされ、意欲的で行動力のある人である。そういう人は必ずよくなるのだ。

②薬の発達もあり、わかばで情報を知って、努力されている水準が素晴らしい。

③私どもと長いお付き合いを頂き、信頼、安心の心が育ち、長年の薬依存から脱けだしつつあるような、自然治癒力の増加。

以上、3点があると思いました。医師となって44年、わかば会を結成して38年、喘大を創設して32年となります。長い努力が「継続こそ力なり」、「安心」となって改善を生じていると感じました。
 2月、3月は「会員更新」の時期です。この流れを更新し、継続し、一層よくなっていく、貴重な1年々々、1日々々にしようではありませんか。更新を是非お願いします。

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 暮れに写真のような集いが行われました。「古希の集い」を地元でやると言われました。最初は
遠慮していたのですが、喜寿を迎える人が3人いることが分かり、「共に祝う」のならばとやって頂きました。
男の子達が正月に来て、「古希の祝い」をやってくれました。娘と孫は神奈川県にいるのですが、春休みに行くからと、七五三の写真を古希祝いにと送ってくれました。上の写真の最後列の背の高い人は、徳田さんの息子さんで、富山大学数学科の3年生です。役員をやってくれることになりました。小児喘息サマーキャンプにも力を貸してくれるでありましょう。年をとっていく人にとっても貴重な1年々々であります。徳田さんのお子さんのような若い人、私の子供たちや孫にとっても、同様の1年、1日であり、皆様の御家族にとっても貴重な1年、1日であります。孫の成長が早い、小学校に上がったばかりなのに、早や7才のお祝いをする、ということは「年が過ぎるのは早いし、日が過ぎるのも早い」ということであります。

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 であればこそ、原発の無い日本、クリーンエネルギーで世界の先進を行く日本にしなければなりません。TPPや「税と社会保障の一体改革」とか言って、日本を悪くするようなことは止めさせ、老いも若きも喜べる日本をつくる1年々々、1日々々になるよう努力しましょう。
 次に大切なことは「わかば会」の発展です。2月の金閣(粟津温泉)で行われる総会は重要です。規約改正が総会で認められれば、石川県は「障害者を含む団体が会報を発行していること、石川県が公的に長年補助を行ってきた団体であること」を認める証明書を、「会員の障害者手帳を間違いなく県が発行しているという調査」完了後に出してくれると伝えてきました。「障害者団体の発行物」として会報「わかば」が認められるハードルをひとつ越えることになります。
 また家族会員制度も議論される予定です。家族会員は年会費500円で、ゼミや催しの全てに会員同様に参加することができるようになります。徳田さんの息子さんも500円の家族会員で役員になることもできます。1000名を超えることを目標に掲げながら、その近くまで行って足踏みしていましたが、これで今年中に会員1000名達成の可能性も出てきます。可能な方は今後ご協力をお願いします。
 ホームページでのご協力有難うございました。「克服を克服するためのホームページです」の方の親元は、周りのホームページの「専任の人やお金や技術、時間をかけた努力やSEO対策(順位の上がる努力)の向上」で、ランクが下になりました。今後、親元ページアクセス数アップのため、克服の頁を経由しないと「喘息ホットニュース」に辿りつけないようにしますので、御協力下さい。これからも努力を続けていくのですが、時代はどんどん進みます。
 私は、富山の中沢さんのご協力を得て、フェイスブックとツイッターに乗り出すことにしました。この面で既に努力されている方は、友達になり、アクセスをして下さい。皆で新たな努力をしていきましょう。
 最後は、「第11回成人喘息ゼミナール」と秋の交流会などの諸行事です。喘息だけでなく、好酸球性副鼻腔炎(匂いがなくなる)、好酸球性中耳炎がよくなった人も出てきています(本号7頁参照)。チャーグ・ストラウス症候群が非常によくなった人の体験を5月のゼミで聞くことができます。わかば会と共に貴重な1年々々、1日々々を刻んでいこうではありませんか。
 私は暮れにPET・CT検査をやって全身のどこかに癌がないか、転移がないか、保険で検査して頂きました。全く正常でした。せっかく生かされた命、会員の皆さんがよくなるよう捧げて恩返しをして生きてまいります。会員更新をお願いします。

241. 未来を明るくするために

喘息をよくし治すために(241)
喘息大学学長 清水 巍

 第300回記念講座を2月14日、わかば会総会でさせて頂きました。テーマは「貴重な1年々々、1日々々」ということで、「参加者全員30秒自己紹介」を入れました。総会参加者がどのような人で構成されているか、新年会の宴会でも楽しく交流できるようにするためでした。
 それを17ページ、ニッカイのテープやCDで希望者は聞くことができます。多士済々で色んな特技や活動を行っていることが如実に伝わります。ニッカイのHPも改善されました。フェイスブックでニッカイのNさんとお友達になったことが、変更・改善に飛躍的に役立ちました。新しいツールや出会い、参加が「未来を明るくする」ことにつながった例です。
 皆さんも、聞いてみたいテープのものがあれば、取り寄せて聞いてみて下さい。講座レジメも同封されてきます。
 喘息をよくし「未来を明るくする」ことが本誌の「本命」です。昨年、「喘息クイックチェックシート」でビンゴゲームのように各地で調査をしました。その結果がまとまりましたので、2枚だけ紹介します。

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 「石川県」という左は、尾口村かんぽの宿に集った石川県のわかば会員、「石川県新規」は11月の新患を中心に行った城北病院での講習会参加者データです。圧倒的に左の石川県のわかば会員になっている人の愁訴が低いことがわかりました。
 それは、全身性ステロイドを多用しているからではありません。わかば会員であり、毎月の講座を受けている人が多いからです。同じような努力をするなら、全員が「石川県の低い%」の中に、未来は入れるのではないでしょうか。
 今度は「第11回成人喘息ゼミナール」に集った人を集計し比較してみます。

 表の全国各地調査結果を全て、5月の「第11回成人喘息ゼミナール」でパワーポイントで分析結果を公表します。全国各地の患者会役員も「自分のとこで何が必要か」、未来への改善展望をつかめるでありましょう。
 私は「参加し、努力する人は、それなりに報われる」法則のせいだと思っております。鼻や耳、他の合併症克服も「喘息克服」以上に重要な課題になっていることも「わかば」は強調してきました。チャーグ・ストラウス症候群の人が茨城県、その他から参加されます。日本で初めてその患者さんの交流会が開催されるのです。顔見知りとなって、交流が生まれることでしょう。かつて難治性・重症喘息の人が、喘息大学で希望をつかんだように、未来を明るくするキッカケとなることでしょう。第11回成人喘息ゼミは、「合併症克服や成人病、癌の早期発見、生き方の改善」のキッカケにもなるのです。
 私はおかげさまで、ゴルフの70の手習いで週2~3回レッスンを受けております。本も3冊、DVDを2つ買い勉強しています。PET-CTでは全て正常でした。加齢と共に白髪が増え、頭の老化やボケは確実に進行しておりますが、元気で皆様に「役立つ」目的を「わが使命」としました。昨年、研究会で「私の手術報告」を私がしました。研究会参加者も「自分が自分の症例を報告する」例にビックリされていました。写真や教訓を含めて、ゼミ参加者にさせて頂きます。医師が医師自身の症例報告を「ゼミ参加者の患者さんにする」などという例は歴史上、かつて無いことであり、もっと珍しいのではないでしょうか。
 私の恥の報告ではありますが、ゼミ参加者に「恥をつつみ隠さず報告する」ことを通じて、参加者や全国各地の喘息患者さんの未来を明るくしたいのです。私の教訓を「つながりのある全ての人に活かしていきたい」「そのような生き方を会員同士の生き方に、できればしたい」のです。
 3つ目は「社会保障や医療・介護、日本の未来を明るくする」ことです。日本の世の中がつらく、苦しいものになっては、明るくなりません。「税と社会保障の一体改革」を野田政権は実行しようとしています。「一体改善」と言ってくれて、中味がよいなら賛成できます。小泉さんの「構造改革」にしても、庶民は「改革」と言われると「よくするのだろう」とすぐ思いますが、常に「改悪」の歴史でした。税は庶民の負担を多くし、社会保障は「もっともっと改悪しないと」というのが「一体改悪」の中味なのです。
 次ページに資料を載せました。1000万人の署名を集めて阻止しましょう。高齢化社会到来はわかっていました。だから3%、5%の消費税導入と言われたのではないでしょうか。これまで納めてきた250兆円が社会保障に使われていれば、すぐに未来は明るくなります。それが法人3税の企業減税にそっくり使われ、大企業は300兆円の内部留保を持つに至りました。もっと儲けさせるためのみの「消費税10%」「社会保障はもっと改悪」はやめさせましょう。
 土台となる政治、経済、日本を「福祉国家」型にしていくことが未来を明るくします。土台もその上も明るくするために頑張りましょう。

242. 2012年・桃色の表紙

喘息をよくし治すために(242)
喘息大学学長 清水 巍

 青空色の2011年の「わかば」の表紙が桃色に変わりました。青空色と言っても寒色系でしたから、桃や桜を連想させるピンク系は暖かさを感じさせますね。
 2011年3月11日の東日本大震災は「地震・津波・原発事故」のトリプルパンチで大変でした。「日本の原発は絶対に安心」と言って、この災害がくり返される日本列島に「54基も作った絶対安心という安全神話」は完全に事実によって崩れたのに、また再稼働させようとしています。今は1基しか動いていないのに電力不足が無いのですから、再生エネルギー開発に切り換えればよいのに、「電力会社の儲け」優先のために政界も経済界も再稼働開始に動いています。

 このような寒い問題を幾つも引きずっていますが、暖かな話題もあります。

①アステラス製薬が10万円の補助金

 「患者会活動支援のために資金援助」を行っている会社が「東日本大震災の被災地から第11回成人喘息ゼミナールに参加する人の旅費や宿泊費の補助に使うならば」と支給を決定してくれたのです。毎年これまでも申請し、今回は20万円を申請したのですが10万円だけ初めて認められました。被災地から何名参加されるかわかりませんが、どうぞ参加申し込みをして(受講料3000円は元々無料)、支援を等分に受けて下さい。

②第11回ゼミ、石川民医連の医師協力が過去最高6名

 第2の暖かなニュースは、第11回ゼミの参加者も増加傾向で、石川民医連の医師協力は6名と過去最高の協力が得られるということです。莇、大川、中内、笠松、田村医師、そして私の6人の医師が参加するのです。中内先生も体験交流会のどこかに助言者として入り、夕食交流会では乾杯の音頭を取って下さいます。

③新薬発表のニュース、続々!

 これまでアドエアやシムビコートをはじめ薬の改善があり、喘息死が減り、改善が進んだのに、また新薬の投入が来年度くらいから始まり凌ぎが削られそうなのです。1日1回吸入すれば、今までのものより効果的―こんな吸入薬も出るという話、その他が出ています。ゼミで詳細をお話しますが、楽しみにして下さい。

④家族会員、IT・VIP会員の新設

 家族会員年間500円が新設され、徳田さんの息子さん(富山大学4年生に4月からなる、数学の教師志望)が役員に選ばれ、3月の役員会に出席されました。ゼミ参加のため子連れで来る人があり、そのお子さん達のお世話をすることを引き受けてくれました。子連れでも安心してご参加下さいとのことです。小児喘息サマーキャンプも役員として参加して下さるそうです。親子共々、会社ぐるみで御協力下さいます。ITわかばの発送VIP(お世話になってる先生方などに謹呈)もお願いできることになりました。若い力の参加は明るい話題であり、春のような暖かさが感じられます。

⑤金沢の写真師・橘さんの協力
 表紙の桜や下の写真など、金沢の写真師・橘さんの協力が得られることになりました。「金沢の春」卯辰山の桜です。

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 金沢の季節、季節の写真を撮影しておられますので、時々活用させて頂く了承が得られました。

 以上のような5つの話題はほんの一部ですが、塵も積もれば山となります。暖か
なピンクのような好意が一杯となる春を迎え、嬉しい年にしていきましょう。
 「喘息にしっかりとした春を!!ピンクのようなルンルンの身体を」という点で、
4月号をお送りします。プレドニンや全身性ステロイドを使わなくとも、喘息だけ
ならばコントロールできる時代です。チャーグ・ストラウス症候群や好酸球性中耳炎、好
酸球性副鼻腔炎、好酸球増多症の場合は使う必要がある人はいます。そういう場合
を除いて、喘息のコントロール方法を強力な順番から紹介してみます。携帯用噴霧器(メ
プチンエアーなど)を月に1回も使わなくてよいようにするというのが目安です。

【No.1の各種】
①セレベント50ないし、ホクナリンテープ2mgの使用+アズマネックス200を2吸入ないし、キュバール4吸入×2回/日
②アドエア500を1吸入×2回/日
③シムビコート200を4吸入×2回/日
これらに、キプレスかシングレア、テオドールかユニコンなど、スピリーバの追加を検討するのが最強の選択肢です。どれに自分の相性があるのかは、試してみないと分かりません。喉嗄れや嗄声が起こった場合の最強ステロイド吸入は、オルベスコ200を2吸入/日に変更してみるとよいでしょう。

【No.2の各種】
上の①②③の量や回数を減らすか、半分にするか、4分の1にしてコントロールするのです。目安は月に1回も携帯用噴霧器を使わなくて済めば、ということです。

【No.3以下】
上から順のステロイド吸入だけにすれば、薬剤の強力さは減少します。
主治医と相談し、良好な春のスタートを実現して下さい。

243. 合併症の克服・最良の道

喘息をよくし治すために(243)
喘息大学学長 清水 巍

 5月は私が70才の誕生日を迎える月です。「ゴルフを習い始める」と言って、なかなか開始できませんでした。今年の2月1日からレッスンに、主として診療終了後の夜に30回ほど通いました。吹雪に向かってボールを打ったことが何度かあります。初めて写真を昼に撮影してもらったのが下のものです。

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 フェイスブックを始めたのは1月20日からです。この2つが通常の診療や仕事の上に重なりました。3月後半になって血圧が高くなりだしたのです。ずーっと高くなかったのに、上が170、下が120ということもよくあるようになりました。70代に向けて「健康のために」と始めたスポーツが、これでは「脳心事故」を引き起こしかねません。成人喘息ゼミナールを前に、また「もう一つの病気発見」では困ります。
 「脳心事故や血圧のために、ゼミ参加者に迷惑をかけた」では話になりません。宮岸会長は近くにいて「先生、やりすぎだよ」と言いました。ゴルフの腕前が上達しないので、ストレスが溜まったのかもしれません。
 城北診の循環器の専門医に相談し、二次性高血圧の検査をし、薬を出してもらい、血圧日記をつけ始めました。その薬を飲み出したら、その日からずーっと全く正常の血圧に戻るようになりました。喘息の患者さんがアドエアやシムビコートで、全く問題が無くなるのと「似ている」と思いました。投与されたのはオルメテック20mg、アムロジン5mg、各1錠、計2錠を朝1回飲むだけです。もちろん検査は十分に受けました。二次性高血圧では全くなかったのでご安心下さい。
 オルメテックという降圧剤はアンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬です。その薬が私には見事に効いたのです。私が5月号の冒頭に何故自分のこんなことを書いたのか申し上げます。

① 人生の過程では「いつ、どんな合併症が、どう起こるかわからない」
② 私の父親には高血圧があったし、遺伝の要因もあったと思われる。人の遺伝子や体質のタイプで、喘息の人に好酸球性の副鼻腔炎や中耳炎などの合併症も起こるし、高血圧、肺炎、心筋梗塞、糖尿病などの合併も起こり得る。
③ 適確な医学的対処をすれば良好に保てる。

 ということを伝えたかったのです。5月はゼミ準備、6月からは鮎ですので、ゴルフは秋まで中止します。そのようなことで、血圧は安定し、元に戻るかもしれません。
 喘息の合併症にCOPD(肺気腫、慢性気管支炎など)もあります。吸入ステロイドでコントロールがよくなってから、喘息死は減り続け、COPD死は増加の一途を辿っているのです。(12頁参照)
 4月11日(水)のNHKテレビの「ためしてガッテン」の放送をご覧になったでしょうか。喘息にもCOPDが合併すれば、下写真のような全身病を引き起こすということが画面で放映されたのです。医学関係者の中では明らかになっていたことであります。死んだり全身性影響を防ぐためにも、COPDの合併は喘息の人にとって二重に要注意です。

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 喘息だけなら、医学の進歩、ステロイド吸入の進歩、これからの新薬でもっと幸せになれるのです。
それを学べば、です。しかし、高血圧、糖尿病、COPD、癌、骨そしょう症などが喘息と合併する可能性もあり、合併症対策は重要です。

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 医学の進歩を大いに学び、取り入れて、様々な全ての合併症を克服し、皆様と共に健康で長生きいしたいと考え、ゼミやCD・DVDで情報提供させて頂きます。

244. 見た目と正しい認識

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喘息大学学長 清水 巍

 私たちの年間の最大のイベント・第11回成人喘息ゼミナールは、皆様のご参加や援助で大きな成果を上げて終わることができました。喘息患者さんやご家族の参加は120名、講師やスタッフ26名、来賓3名、その他6名、総計155名でした。
 感想文を拝見しますと、「城北病院の医師集団だけで十分な講演を頂いた。中央から講師を呼ばなくても十分だ」「チャーグ・ストラウス症候群=アレルギー性肉芽腫性血管炎の病気だけで、全国から9名もの患者さんの体験交流会が日本で初めてあった。救われた気持ちだった」「ゼミ参加1年後に自分が随分とよくなっていることに驚いた」「鼻も耳もよくなった人の話が聞けたし、喘息も完治したという人の話が聞けて勇気が湧き、自分も頑張ろうと思った」など、参加しないことには得られない貴重な場になったと確信が持てます。講師を2年連続で担当して頂いた大川先生からは次のような礼状をメールで頂きました。

 

清水先生へ

5月20日の喘息ゼミナールで講演させていただきありがとうございました。講演で何を話すかいろいろ考え又、資料を調べるなかで、生き方そのものが一番大事だという結論になりました。

講演の後、体験交流会で5人の方が話されるのを聞かせていただきましたがとても感動しました。皆さん、修羅とも言える闘病体験の中で、「自分が主治医である」という信念をもとに様々に工夫しながら病気を克服されていった話だったと思います。そのことは「生き方そのもの」であったと感じました。

私が講演で話させていただいた結論を、すでに皆さんが実践されているのだと思いました。

清水先生が理論的にも実践的にも大きな成果を上げられていることにあらためて畏怖の念を覚えました。

講演させていただきましたが、一番勉強できたのはわたし自身だったのではないかと、改めて実感し、感謝の気持ちを表したくメールさせていただきました。

 

 学会の方も4月、5月と右のように最大のイベントが行われたのでありますが、このような先生方や医学の努力、そして私たちの「自分達が行う努力」、この2つが噛み合えば、今よりも確実によくなり、前進を実現できるのだと思います。
 しかし、幾つか認識を新たにする必要性を感じたことがあります。それは「肺年齢95才」という呼吸機能検査の解釈についてです。学会の方で「肺気腫の早期発見・治療を目的として肺年齢という表現を使って警告を発することにした」のは皆さんもご存じのはずです。

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 しかし、喘息の人も呼吸器機能検査をすると「25才の人でも95才の人と同じです」と言われることがあります。大抵の人はショックを受けます。もう行きつくとこまで行って、もう死ぬしかないのかと思う人もいます。
 しかし、これは呼吸機能上での表現が同じになるだけで、肺の年齢は「喘息だけの人は自分の年齢と同じ」で決して95才ではありません。肺は、喘息の人は下の図①左の正常肺細葉と同じなのです。肺気腫の人は図①の右側2つのパターンをとります。私の図解(図②)を入れました。

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 以上のように、喘息の人は肺胞の壁の破壊はなく、気管支リモデリング(固くなって可逆性が悪くなる)を起こしたり、収縮して狭くなったり、炎症を起こしているために呼吸機能検査上では、肺気腫と同じパターンをとるだけです。「気管支年齢は、ピークフローメーターや喘息日誌の後ろの表で、年齢・性別・身長と比較して見る」のです。見かけだけで判断すると、とんでもないという1例ですね。私も昨年のゼミでは元気そうに見えたのに、終わった次の日(月)に入院、水曜に手術でした。今度も心配だという人がいました。PET-CTをしましたが、今は全身のどこにも癌は無く、転移は全く見られませんでした。
 私の髪の毛は少し黒いらしく、「先生、気の毒に。毎回ゼミで髪を染めてきて若づくりしている。髪がダメになる。このシャンプーは髪を傷めません」と現実に昨年送ってきて下さった人がおられました。今度の夕食交流会でビールやウーロン茶をついで回りましたら「毎朝、染めているんでしょう」という人がいました。「私が生まれてこのかた、一度も染めたことなどありませんよ」と言ったら、その人だけでなく、回りの人も「えっ、本当?!」と沢山の人が驚いておられました。そういう誤解が実は相当あるのだと今回分かった次第です。頭頂部の髪は薄くなっていますし、白髪も年相応に増加していますので、やがては真っ白になるか、相当禿げるでありましょう。しかし、当面は大丈夫そうです。
 見た目と正しい認識の必要性を感じたゼミでもありました。次頁に私の講演の冒頭の図を掲載しました。正しい認識を持って喘息治療をする必要があるし、合併症対策をしなければなりません。癌の早期発見(日本人の2人に1人が死ぬまでに癌を経験する)、検診を受けることも重要です。見た目で判断するのではなく、正確な正しい認識で斗病し、100歳まで元気に生きてまいりましょう。

245. 薬が効かない?

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喘息大学学長 清水 巍

 喘息のコントロールは、会員の皆さんはベテランであり、かなり上手くなっているのではないでしょうか。しかし、突然ある時に苦しくなり、「これまで使っていたこの薬は効かなくなったのではないか?」と思ったことはありませんか?
 今号では、この問題について会員の皆さんと考えてみたいと思います。
第1は、「突然薬が効かなくなったり、効果が無くなる」ということは、普通は考えられないのです。薬は一定濃度の成分を含んでおり、それが突然に減るとは考えられないからです。薬が効かなくなったと感じるのは、薬が変化を起こしたからではなく、自分の側に変化が起こったからです。
 風邪をひいたり、気管支に細菌がついて炎症を起こして、CRP(気道炎症の指標のひとつ)が高くなったりして、自分の側が悪化したために、これまで効いていた薬が効かなくなったと感じられることはよくあるのです。
 城北診療所や寺井病院では、1時間ほど待つ時間があれば「至急の血液検査」の結果が出ます。CRPがどのくらいの数値まで高くなっているか、白血球数はどれくらいか、末梢血の好中球%はどれくらいか(好中球の比率が高まるということは、細菌感染の炎症が起こっているという証拠)、好酸球%はどのくらいか(この比率が高ければストレスやアレルギー、何らかの影響でアレルギー炎症が起こっているという証拠)など、手にとるように分かります。そして正確な対策を加えることができます。これまでは、次の日とか、数日後にしか分からなかったのが、その日のうちに調べることが可能になったのです。
 自分の身体の側が薬が効かなくなり変化を起こしたのであり、その対策を正確に検査で診断したうえで治療すれば、元の薬がまた元のように効く薬に戻ります。
 第2は、「好酸球%が増えたり、疲労が重なったり、ストレスの増加があったりして、気道のアレルギー炎症が悪化している」という場合があります。こうなると、それまでの薬の量だけでは不十分ということは起こるのです。この場合は「薬はこれまでと同じ分は効いてるんだけども、それだけでは不十分な状態に、自分の側がなってしまった」と考えて対策をとらねばなりません。
 アドエアやシムビコートの合剤の場合をまず考えてみましょう。
 アドエアには50、100、250、500μgという製剤があり、数字が大きくなるほど効果が強く、値段も高くなります。1日2回朝晩食前吸入が普通です。この吸入回数を増やすということは、この薬の場合できないのですが、数字が多いものを持っていて、普段使っているものより多い数字のものを悪い期間は使ってみるとよいのです。ピークフローメーターや喘息日誌の記録を見ながら安定するまで試みる価値は大いにあるのです。逆によくなれば「少ない数のものを試す」こともよいのです。
 色んな種類を持っていないとできません。私は鮎釣りをするのですが、掛け針を3本のイカリ針にしたり、4本のイカリ針にしたりと工夫をします。毛針釣りなどは、天候や温度、水の色、時季などに応じ違うものを選ぶことが求められます。

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もうひとつの合剤、シムビコートの場合は200μgの製剤だけです。これは1日2回各1吸入から、1日4吸入×2(朝・晩食前)で8吸入まで使用してもよいとされる使用回数巾のある吸入剤です。

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 1種類で調節可能と言えます。しかも、サルタノールやメプチンエアーを吸入したくなるような時に、1日2~4吸入までしか使用していない人は、シムビコートを屯用で臨時に1日合計が8吸入になるまで吸入することで、より大きな効果(すぐ効く、長時間効く、炎症を抑える)が可能となるという報告を得てもよいですよ、という方法が保険で認められました。これは新しいニュースであり、次ページに詳細を紹介しました。
 同様に、ホクナリンテープ、キュバール、オルベスコ、アズマネックス、パルミコートなど各種も増減使用があり得ます。また、同じものの増減よりも抗アレルギー剤、テオフィリン剤追加が著効を示す人もいます。副鼻腔の管理が悪いために、薬ばかり増えてもよくならないという人は、その改善が必要です。
 自分の側が変化するということはよくありますので、かかっている医師の指導を受けながら、効くような状態にもっていくよう習熟する(我慢はダメ)を会員の皆さんには、実現して頂きたいのです。

246. シムビコートSMART療法

喘息をよくし治すために(246)
喘息大学学長 清水 巍

 喘息の吸入薬、治療薬のよく効くものがどんどん開発され、市場に投入されているのは皆さん、実感されているでありましょう。それは世界的に起こっていることです。世界同時発売とか、全世界で同じ新薬が使われるようになってきたのです。昔は英国ではこれが使われているとか、アメリカではこれが使われ出したというのがありました。使い方までどんどん変化します。
 前号でお知らせしました(喘息患者さんに最も早くお知らせしたのが、わかば7月号でした)、“シムビコート1日2回各1~2吸入の定期吸入している人に限って、屯用で定期吸入の他に使ってもよい”というのも1例です。名付けて「シムビコートSMART(スマート)療法」ということになりました。世界的にその呼び名が使われますが、「それって何?」ということになりかねません。
 わかば会員の皆さんに本号で「わかりやすく解説」することにしました。1日2回各1~2吸入の定期吸入しているシムビコートを、息苦しさなどがあった時にも屯用で吸入する『Symbicort Maintenance And Reliever Therapy』(シムビコートで維持しながら、救急薬・一時改善薬治療として追加する治療法)の頭文字(太字)をとって、シムビコートのスマート療法、と言うのです。英語文字での略称を使用すること自体、世界共通ということのあらわれでありましょう。

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 シムビコートの特徴は私の著書「これでわかる喘息とその合併症のお薬ハンドブック」(合同出版)9ページに次ページのように書いてあります。
 「①すぐ効果が感じられ、 ②長時間の拡張効果を持ち、 ③気道の炎症がとれる、という3拍子揃った効果、平均粒子が2.4μmで、中枢気道にも末梢気道にも効くとされている。1日の吸入量は1~8吸入と選択の幅がある。1回で吸入する粉末は、吸った感じがしないというほどごくわずかで、のどへの刺激が少ないという特徴がある。」

 これを読んだことのある人は多いでしょうし、私の講演で何度か話していますので、聞いたことのある人も多いのです。しかし、全部覚えているという人は少ないというのが現状ではないでしょうか。ですから、機会あるごとに復習して、完全に覚えていけばよいのです。
 SMART療法などという横文字が並ぶと、これを読んだ時はわかったつもりでも、「ハテ?何の略語だったか」ということになります。スマートになる、痩せる療法というのならわかるが、何だっけ? だから、横文字はキライだということになってしまいます。繰り返しますが、「シムビコートをメインティナンス=維持療法(定期吸入)しながら、苦しくなったら必要に応じ注意(下線部分)に従って、シムビコートを屯用で使うという治療法」なのです。

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 1日2回各1~2吸入の定期吸入の人は、メプチンエアーやサルタノールを使いたくなった時に、「それを使わずにシムビコートを1吸入ないし2吸入するのがスマートなんですよ」ということです。2種類持って歩かなくてよいので便利なのです。
 ①便利で ②よく効いて ③うんと安い。 こうなれば3拍子揃って拍手なのですが、③だけは若干違います。新しくてよいものは、若干高いというデメリットはあります。サルタノールやメプチンエアーは一時的に拡張させるだけですが、シムビコートは一時的にも効くし、長時間拡張させるし、炎症もとる、一石三鳥の効果がある、だから現代の「スマート療法」だと覚えて下さい。こういう時代に「まだメプチンエアー2本から3本出してくれ、スメトリンDが一番だ」という人が、まだいます。時代遅れと言わざるを得ません。1日2回各1~2吸入の定期吸入以外の人には、屯用療法には保険適用はありません。必ず主治医と相談して下さい。
 前回も書きましたが、アドエア派の人が同様に状態によっては濃いのを使ったり薄いのを使うというように、1日2回定期吸入している人の場合、アドエア100、200、500と何種類か持っていて、ピークフローメーターでの測定で数値が悪くなったり症状が出れば濃い500を使い、喉嗄れの副作用が起こったり調子がよくなったなら薄い250や100を使うこともあり得るのです。それをやる時は各種を持っている必要があります。1回の受診で2種は出せませんので、状態の違う次の月に別のものをもらわなければなりません。スマートの向こうを張って「その方がダンディでおしゃれよ」ということになるかもしれません。使用方法も変わる時代なのです。「正しく知った上で選ぶ」 それが、わかば会員の特権です。
 しかし、実行したり試したり、色々な場合を経験してみないとダメでしょう。知っているだけでは不十分なのです。 ①時代の流れを知り ②保険診療の範囲で ③最良の治療を選ぶ それが究極のスマートと言えるのではないでしょうか。

247. 貴重な時期を共に

喘息をよくし治すために(247)
喘息大学学長 清水 巍

 9月から3ヶ月間、喘息克服月間が始まります。喘息をさらによくすると共に、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、好酸球性中耳炎、チャーグ・ストラウス症候群(アレルギー性肉芽腫性血管炎)などの関連合併症、COPDの合併をよくするなど、合併症対策が一段と重要になっています。
 さらに、加齢に伴う余病の発見、対策、治療は待ったなしの重要性を示してきました。すでに「わかば」でお知らせしましたが、一緒に喘息克服月間で頑張ってきた東北の世話人・福島県きびたき会の山形洋一さんが、腹部の癌で亡くなられました。横浜の池田信道さんが腸の疾患で亡くなられました。愛知の近藤美子さんが脳出血を繰り返されて、残念ながら他界されたと伺いました。これらの悲報・訃報に接することも多くなったような気がします。御冥福をお祈り申し上げますと共に、秋の喘息克服月間の数々を共に頑張ってきた思い出が脳裏に浮かんで「有難うございました」と感謝の念をかみしめております。
 石川県でも中谷誠一さん、92才の浅野行雄さん(加齢のための天寿全う)が亡くなられました。残念でなりません。中谷誠一さんは文芸欄に「故 中谷誠一」として俳句が掲げられています。奥様が「1年間はわかばを継続し、仏前に供えたい」と更新を申し出て下さったものですから、頂いてあった御自筆の句集から文芸欄担当の宮岸会長が、季節にあったものを選んで掲載されているのです。あの世から投稿されているわけではありません。私たちは色々なやり方で、この「わかば」を中心としながら「喘息克服月間」で故人をしのびつつ、現在頑張っておられる会員や喘息患者さんのために、「最大限できることをやる」ということが、大切なのだと思います。
 「貴重な時期を共に過ごす」これが「喘息克服月間」の目的です。加齢という問題がありますので、お互いに「残り時間が少なくなっているからこそ、濃密で貴重なよい思い出をつくる」ことが必要ではないでしょうか。
 喘息デーは前号でお知らせしましたように、20回目の今回で最後となります。来年からは5月の世界喘息デーに合わせて、日本の喘息患者会関係者として、全国各地で取り組むことになります。「21回目の喘息デーは世界喘息デーに合わせて」という久保先生からの御提案を、5月の日喘連総会で「受け入れて行う」ことを決定しました。これまでの20回の喘息デーに取り組んできた20年間というのは、画期的に「喘息死」を減らしてきた20年でした。人口10万人に対し約5人(年間)という死亡率が当たり前だった1992年前後から1.6人に減らしたのです。もちろん薬の改善や医療の発達があったのは言うまでもありません。この20年間、最も進歩し患者さんを改善した病気は何か? 「それは喘息である」と、ある学者は指摘しました。久保先生が調べて提供して下さったデータを左に掲げます。
 日本で始まった1993年からの喘息デーも世界喘息デーの試みも貢献したのだと思います。ささやかであっても、よい努力は継続しなければなりません。
 左の表を見ますと、南の方の県が相変わらず高い印象を受けます。石川県は2010年度、2011年度は低い率だったようです。「喘息死ゼロレベル作戦」というのが厚労省と学会、都道府県の協力で行われております。全国にある喘息患者会も私たち「わかば会」も、日本喘息患者会連絡会も、協力して世界喘息デーに合わせて来年5月、日本の喘息デーに取り組みましょう。何らかの行事を追求なさって下さい。
 繰り返しとなるかもしれませんが、この20年、貴重な時期を共に過ごして、喘息で死なず、よくすることができました。これからも貴重な時期を過ごしましょう。それは「よりステキな人生を全うする」につながります。この秋、色々な場の交流会に参加して、よい思い出をどうぞ増やして下さい。

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248. 喘息の克服を通じて幸せを  ―良い呼び水を利用しよう―

喘息をよくし治すために(248)
喘息大学学長 清水 巍

 喘息発作好発の季節です。喘息克服月間9月から11月の真ん中の10月です。皆様、いかがお過ごしですか? 「これまでのどの秋よりもいいし、去年よりもいいようだ」と言えるでしょうか。そのように言える薬物療法の進歩した時代に入りました。わかば会や日本喘息患者会連絡会、全国各地の患者会、皆様の努力でよい交流ができています。それを大いに生かす月が10月です。
 各地秋の講演会での講演テーマは「喘息の克服を通じて幸せを」とさせて頂きます。「喘息を克服できるようになる、よい情報をいち早く受け取る」ことが、わかば会の重要な目的です。しかし、それだけではありません。喘息の克服を通じて「幸せを実現できるようにする、実感できるようにする」ということが究極の目的です。
 合併症や余病の克服、チャレンジ精神を失わない生き方が必要です。「よい呼び水を利用しよう」という副題をつけさせて頂きました。よい呼び水があってこそ、よい変化が生まれます。しかし、それを利用しなければ今のままです。この会報を通じて全会員の皆様に良い呼び水は利用して頂きたいのです。診察室に「大会で2等賞を取った賞品の鮎タビが飾ってある」のですが、「あれは何ですか?」とか「先生、今年の鮎の釣れ具合はどうですか?」などとおっしゃる会員の患者さんがおられます。その度に引き出しから「わかば」7、8、9月号の裏表紙・編集後記をお見せして「毎号書いてるんです。よく読んでね」と申しあげています。
 より詳しく画像や声で知って頂くために、全国各地で、同じテーマで今年はお話をさせて頂きます。テープやCDで聞かれる人はニッカイから入手して学んで下さい。それでは喘息治療の最新医学的ニュースから紹介していきます。

Ⅰ)①オンブレスの効果
 今年5月号の「わかば」14~15頁にこの新薬を紹介しました。長時間作用性吸入気管支拡張剤で、ノバルティスファーマという会社から出たものです。今号に使い方を医学的新情報として紹介しました。肺気腫や慢性気管支炎を合併した気管支喘息の人にしか保険適応がありませんが、なかなか強力でよいようです。このオンブレスに「スピリーバに換わっての強力な同効製剤が追加されたもの」が新薬としてやがて登場するとされています。一剤で2つの効果があるのです。

  ②シムビコートもCOPDに保険適応
 SMART療法を8月号のこの欄で紹介しました。1~2吸入のシムビコートを定期
的に吸入している人は、苦しい時に追加し1日合計8吸入まで使ってもよいという話
でした。今度はこの「シムビコート」がCOPDの患者さんに保険適応が認められました。1吸入ずつ1日2回のみがCOPD患者さんへの使用量です。喘息を合併したCOPDの人には1日8吸入までが可能です。すでにアドエア250がCOPDへの使用を認められていましたが、それにシムビコートも加わったのです。
  ③全国各地の治療状況と対策
 昨年の各地交流会で「喘息クイックチェックシート」を実施しました。今年度のゼ
ミ参加者を含めて全データが出ましたので、その報告をします。地方によって症状出現頻度に差がありました。難治性喘息の人がよくならないと「幸せを」と言っても難しいですから、全地方がよくなるその対策を提案します。

Ⅱ)合併症・余病も克服する
 COPDの推定患者数は530万人、花粉症は日本人3人に1人と言われていたのが2人に1人と言われるようになり、癌を一生の間に経験する人は日本人で2人に1人とも言われています。癌、肺炎による死亡はグラフのように高まるばかりです。その対策を私なりに話します。次頁の肺炎球菌ワクチン助成はよい呼び水です。
 鼻の匂いがない、好酸球性中耳炎、チャーグストラウスの合併症対策も重要です。鼻の匂い改善の方法は、ほぼ確定し、城北・寺井では多くの人が改善しています。

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Ⅲ)幸せを
 その実現のためには、チャレンジ精神が必要です。10月4日には日野原先生が101
才の誕生日をお迎えになりました。テレビ、ラジオ、その他で紹介されるでしょう。
見たり録画したり、一つの見本として学んで下さい。皆様が喘息を克服し、日野原先
生を越えて幸せになる「呼び水」になることを期待し、本号を書きました。

249. 克服月間最後の月

喘息をよくし治すために(249)
喘息大学学長 清水 巍

 2012年度(平成24)の秋はいかがだったでありましょう。定期通院されている方々は、殆どが無事に喘息好発季節を過ごされたと思います。一部の方が、好発季節だということで気温が下がったり、風邪を引いたりして悪化されました。色々な理由で、ごく一部の方は「苦しい」と言い続け、外来に来られています。その人たちも含めて11月中には安定を実現したいものです。
 秋口から晩秋にかけて、新しく発病された方や薬が切れて久々に来られた人も多くいました。その人たちが来るということ自体、秋には喘息が悪化しやすいからということです。この秋を乗り切って、冬に備えるために大事なことは3つあります。
 1つは前号で紹介したように、この5年間以内に肺炎球菌ワクチンを注射していない人は接種しておくということです。肺炎球菌による肺炎(これが最も多い)をかなり予防できるからです。
 もう1つは、裏表紙にあるインフルエンザワクチンの接種です。今年の流行がどうなるかは分からないのですが、「予防に勝る治療なし」です。
 3つ目は、全国各地の調査結果から学ぶということです。山中温泉でのわかば会各支部総会、関東、関西、九州交流会に参加された方はご存知ですが、全会員にここで報告をしておくことにします。昨年と今年に行われた「喘息クイックチェック」による全国各地の比較です。統計学的に有意差の出たものを中心に掲載します。
 石川県とあるのは、金沢、加南支部総会に参加した、よく教育を受けているベテランの患者さんたちです。石川県の新規というのは、初めて勉強会に参加した城北診の患者さんたちです。「せき」の症状で見ると、一番多く訴えておられました。金沢、加南支部総会やゼミナール参加者のように熱心に教育を受けた方が「よくなる」とううことがこのデータから言えました。(今号3頁の北島支部長報告参照)

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 「ぜーぜーひゅーひゅー」や「息苦しい」という症状に関しては、石川県の支部総会参加者が一番低いという結果でした。治療のされ方に違いがあるのではないかということも考えられました。この報告は、10月の長崎での民医連呼吸器疾患研究会で発表したものです。全国のデータを得られる貴重な先生です、と称賛されました。

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①くり返し教育や指導を受けること
②濃厚に患者同士の交流を行うこと
③よい治療を受けること

 これらが症状の出現頻度を下げるという調査結果でした。
 「わかば」をよく読むということも大切なことでしょう。受け取っても読まなければ何にもなりません。「喘息を克服するためのホームページです」という中の「喘息ホットニュース」「掲示板」、わかば会HPの「会員専用掲示板」もご利用下さい。フェイスブックなども始めることができる人は開始しましょう。よい情報を得て、喘息克服月間最後の月を過ごし、冬を乗り越えることができる自信をつけようではありませんか。そして、よい新年、5月のゼミを迎えていきましょう。

250. 年の終わりに

喘息をよくし治すために(250)
喘息大学学長 清水 巍

 いよいよ2012年、最後の月を迎えます。このシリーズが250回目を迎え、右ページ下にある「清水先生講座」は310回目を迎えます。
 「継続こそ力なり」という言葉を、24年間続けてきた喘息大学の教訓として掲げてきました。皆様もこの1年、わかばの読者・会員として努力を継続されてきました。喘息大学が発足したのは1980年(S55)ですから、32年前から「努力を継続してきた」という人もおられるでしょう。この1年を振り返りながらも、「よい努力を継続することの大切さ」を年の終わりに再確認したいと思います。
 わかば1月号の表紙は「龍の年に相応しい龍の宝船」でした。若葉の木も後ろに積まれており、「今年は色々な幸せを、日本に持ち込んでほしい」と願いが書き込まれました。日本の政治や経済の方は、とても残念なことに民主党の公約完全違反、マニフェスト違反によって悪くなってしまいました。総選挙で正しましょう。しかし、何よりも「喘息」の方は「私たちの努力で、良くなった」のではないでしょうか。鼻や耳の合併症、余病の方も、年は1つとったにしても改善の方向に向かいました。とりあえず表紙だけで、ここまでを振り返ってみます。

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 第一に6月号や11月号の表紙に見られるような会員さんの笑顔は、「ただ作られたのではありません。みんなの努力の結果です。笑顔こそ!克服のエネルギー」とありましたが、共感ですね。
 第2に、ノーベル医学賞が京大の山中伸也教授に授与されました。「iPS細胞が人間の色々な臓器の細胞に分化、発展させることができる」という「人間の夢を叶えてくれる画期的なもの」でした。1つの細胞が無限の可能性を秘めているという事実は、1人の人間も無限の可能性を持っているといことに通じるのではないでしょうか。私はそのように解釈しました。
 秋の学会で「伊達洋至 京大外科教授の講演」を聴きました。日本で「両肺同時移植」を初めて成功させ、今「進行性肺癌の手術成績を画期的に改善」させている先生です。その講演の座長をされたのが、私の肺切除を成功させた金沢大学の小田教授でした。小田教授は、「伊達先生の努力の継続に頭が下がるが、一芸に秀ずるものは他芸にも秀ずると言われるように、毎朝走っていらっしゃること、学会の時も早朝に走っておられるし、色んな走る大会に出ておられる」と紹介していました。山中教授も同じく走っているし、研究の継続と共に、趣味や鍛錬の継続が成果を生むのだと感心しました。
 私は走っていることは全くやっていないので、大したことはできないのでしょうが、共済組合の論文で入選し韓国旅行ができたり、鮎の友釣り大会で2位に入賞ということは、継続してきたことの「ささやかな成果」でありました。皆様も、今年の成果、継続の証(あかし)をご確認下さい。
 第3に、来年への飛躍を準備する月でもあります。今年1年を振り返るということは、来年以降をよいものにするためであります。この12月号から紹介する上原英子さん(カナダ・バンクーバー在住/アートセラピスト=芸術療法士)は小児喘息がありました。この「わかば」でも連載を頂いたことがあります。来年5月の成人喘息ゼミナールには、カナダから特別講演に来て頂くことになったのです。喘息を克服した力をバネに、カナダでも日本でも活躍している人を招くことにしました。そのお仕事を理解して頂くために、連載を開始します。踊りも料理も得意な方ですが、夕食交流会では華やかな「アフリカン・ダンス」も披露して下さるそうです。
 人が新たな飛躍や充実を遂げる継続を私たちは重ねてきました。来年には「もっとよい薬」が出ることになっています。この「わかば」と共に1年を振り返り、さらによい年を、楽しみにして迎えていきましょう。

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