昨日に続いて、上記表題について城北病院の掲示板に質問があり、私が回答を書き込んでおきました。これも参考になるかと思いますので、ここで紹介をしておきます。
花粉症
やひろ 投稿日:2007年3月12日<月>12時06分
かかりつけの内科医から聞いたのですが 花粉症のワクチンがあると聞きました。1月の中旬から6回打てば その年はかなり楽になるらしいです。少し調べたのですが ステロイド注射なのでしょうか?副作用などが怖いです。私自身 子宮筋腫と卵巣嚢腫があり 半年ごと検査を受けてます。
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Res:清水 巍(たかし) 題名:花粉症 投稿日 : 2007年3月13日<火>21時57分
ステロイドの注射ではありません。詳しいことはそのお話をしてくださったかかりつけ内科医のお医者さんに聞いてください。
杉花粉症治療ワクチンの研究は、「理化学研究所 免疫・アレルギー科総合研究センター ワクチンデザイン研究チーム」石井先生らによって、なされております。第56回日本アレルギー学会秋季学術大会が2006年11月2日から、11月4日まで開催されましたが、その中の第5シンポジウムで研究の中身が発表されておりました。私もその場所に居あわせました。先日放映されたNHKの番組でもワクチンのことについては紹介されてましたけれども、実用化は5年ぐらい先であり、一般の患者さんがいま受けれるという紹介ではなかったはずです。すべての花粉症に対する花粉ワクチンは開発されておりません。おそらく杉花粉症のワクチンのことを書いていらっしゃるのでしょう。
このことをおっしゃっているのならば、まだ保険が効いておりませんし(ワクチンは市販されていないし、厚生労働省の認可がなく、一般の医療機関では手にすることも出来ないし注射をすることも出来ない)、やがての将来は可能だとしても、通常の方法でしてもらうことは不可能です。少なくとも一般の医療機関では出来ません。石川県ではどこも出来ないはずです。
「杉花粉症の食べるワクチン」の研究開発も進められております。その発表もありました。たいへん有望と思われますが、これもまだ研究開発段階です。一般の患者さんが受けることは出来ません。
舌下免疫療法も最近有名になっておりますが、指定されたごくわずかの治験医療機関でしか受けることは出来ません。このことをおっしゃっているのならば、ワクチン療法とは違います。
昔から行われ、世界中で行われている「杉花粉による減感作療法」のことをお話しなさっているのかもしれません。ワクチン療法ではありませんが、抵抗力をつける治療です。色々なやり方がありまして、1年中続けるとか、高濃度にして維持療法にするとか、教科書には書いてありまして、そのようにやっているところもあります。
もともと私の外来では、1月に入ってから2週間に1回きわめて低濃度の杉花粉による減感作療法を希望者に行っております。大変有効で安全な治療効果をあげてきました。1月から開始し2週間おきにすると6本でシーズンが終わります。このことを私共の外来にかかったどなたかが、その内科の先生にお話をなさって、その内科の先生がそのことを話しておられるのかもしれません。その先生も同様の方法、あるいは少し違う方法で追試・あるいは全く別にされているのかもしれません。
詳しいことはその内科の先生に直接聞いていただかないことには、何をさしておっしゃっているのか、こちらでは分かりません。お聞きになって下さい。
なお城北病院・寺井病院のアレルギー科・清水外来では杉花粉症に対する総合的な治療(薬物治療や希望者への減感作療法)を、安全に実施しております。お書きになっていらっしゃる合併症には全く影響がありません。よろしければ受診されて、ご相談なさって下さい。
いつ外来に出るのかは、城北病院のホームページを探せば外来の診察時間帯が分かるはずです。この質問の近くに、池田さんからの質問がありましたので、そこに私の診察時間帯も紹介をさせていただきました。以上、ご参考になさって下さい。
杉花粉症に対するワクチン療法について
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